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タイはどうなるんだろう

年度3回目のタイ出張。
今回は前回に比べて日程が短く、しかもその期間内に予定されたスケジュールを
強行する、ということもあって、かなりたいへんだったのだが、
さらにたいへんさを増す出来事があったのだ。

それはなにかというと、
タイはどうなるんだろう_c0070261_13561622.jpg

                    反政府デモ。
 (写真ソース:The Nation)
     *この写真ソースをクリックすると、反タクシンラリーおよび親タクシンラリーの双方が見られます。

タイ到着日数日前から、王宮前広場に反タクシン(現・タイ首相)集会参加のため全国から人々が集まりだしていたのだ。
私はというと、日本でのニュースなどで見ていながら、自分の宿泊するホテルが
けっこう近所だということをすっかり忘れていたわけである。

で、反政府デモのリーダーはこの人たち。
タイはどうなるんだろう_c0070261_13585417.jpg

(写真ソース:The Nation)

この人たち、特に右端の老人を知っている人はかなりのタイ通である。
彼が誰かは後で述べるとして、

デモ隊がキャンプして連日集会を開く王宮前広場、デモ行進する民主記念塔周辺、
そしてタクシン首相の登庁を待ち伏せする政府(首相府?)の建物はみな
私の宿泊先に隣接しており、しかも出張のど真ん中である14日には
大デモ行進が予定されていた・・・! 知らんがな・・・_| ̄|○
なんでも5万人規模のデモだとか。
確かにいろいろと失政はあるだろうが、よく分からないのだが、タイの首相ってこれほど嫌われることをしたのだろうか。
端で見ていると、かなり有能な政治家だという印象を持つのだが。
彼がダメなら、もっと他に辞めなければならない指導者がいる国がワンサカあるような気がする。

いずれにせよ、ホテルで会うことを約束していた知人たちは、デモ隊の暴徒化を怖がってみなキャンセル。
なってこったい・・・仕事にならない・・・_| ̄|○

日曜日、地下鉄に乗って郊外のサンデーマーケットに出かけた。
マーケットの入り口でマイク持ってがなり立てているおっちゃんがいる。
近くではビラを配っている人もいる。
マイクの音が大音量のため、最初は何をいっているか良くわからない・・・
っつーか、まじウルサイ。
タイはどうなるんだろう_c0070261_14123321.jpg

ようやく耳が慣れてくると、タクシン首相批判とデモへの参加を呼びかけているのだということが分かる。それにしてもすごい音だよ。
地下鉄の駅にもビラ配っている若者がいたのだけれど、
彼らに共通するのは・・正直言うと・・かなりうさんくさい風体だということ。
スーツ着ろとは言わないけれど、「カジュアル」の域を超えたボロファッションに
挙動不審な目つき、では、バンコク住民を信用させることはできないだろうに、とヨソ者ながら思ってしまう。

というわけで、ホテルに来ない知り合いを訪ねて、彼らの勤務先まで出向くことになった。
まあ結果からすると、そちらの方が面白い経験になったのだが。
分かったのは、私が出会った限りだが、IT関連企業で働く若手はみなタクシン支持。
彼のおかげでタイの情報産業はここまで伸びたのだと言う。
観光業で働く知り合いも彼になってから景気が良くなった、と彼を支持する。

じゃあ、彼に反対する集団はどんな人々なんだろう。
どういう政策を期待しているのだろう。
「彼ら(デモ隊)は1日500バーツで雇われている。」と言い切る知り合いもいたのだが、
これだけの数の群衆を「お買いあげ」するだけの資産を持つ人物って誰なんだろう??
「私は中立」という友人にこの質問をぶつけてみた。
私「タクシンを辞めさせて、誰に首相になってもらいどういう政策をとりたいの?」
友人「・・・・。多分なにも考えていない・・・。」

先ほどの写真に載っていたリーダーの老人。
かつて「92年流血事件」の時、反軍政デモのリーダーとなっていたチャムローンという人。
元バンコク都知事でもある。
この事件がきっかけてスチンダー司令官の軍政は終わり、アーナン暫定政権を経て、
タイはまた議会制民主主義に戻る。
軍政を終わらせたという点では、チャムローンは評価されるべきなのかもしれないが、
この事件では多くの人々が死亡し、未だに行方不明の人も多い。
彼に対しその責任を追及する人もいたが、彼自身も責任を取り潔く政界を引退した。
がしかし、なぜかその後政界復帰を志し、バンコク都知事選挙に出馬。でも落選した。

今回、また彼が担ぎ出されたようだ。
彼の演説を聴いていると、92年の事件のことを思い出す。
「専制政治は許さない」と以前と同じようなことを言うけれど、
あのときは軍事政権相手。今回はいやしくも選挙を経て選ばれた首相である。
ぜんぜん違うと思う。

一外国人がタイの政治に口を挟む気はないのだけれど、はっきり言って見ていて心配だ。
タイがおかれている状況から考えてこんなことをしている場合ではないだろう。
むしろ「挙国一致内閣」でもって、南部のイスラム過激派のやりたい放題を押さえ、
国家の安全と社会発展を進める必要があるだろう。

元々、タイ人は日本人以上に「外国からどう思われているか」を気にする。
一つはタイが観光立国で、風評で観光客が減ると困るということにあるのだが、
もう一つは、外国との距離をうまく保ち、つかず離れずで国の独立を保つ、というバランス感覚の故である。
おかげでタイは一度も植民地にならず、それどころか「外交の天才」と言われるほどの外交上手の国になったのだ。

そのタイがなんだか今、「自家中毒」に陥っているような気がして心配なのである。

「タクシン憎し」でデモをやるのは良いのだけれど、「反対のための反対」ではなく、タイという国をどの方向に誰が進めていくのか、というビジョンの提示をきちんとすべきだ。
それがないままに目先の利益にとらわれていては、状況は良くなることはない。







by yamato1724 | 2006-03-20 14:39 | タイ


段々いよいよ益々不定期更新になってきましたが頑張ります


by yamato1724

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