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今更ながらのミャンマー出張記

また更新をサボってしまった...
10月から遠距離通勤が再び始まりバタバタしていた、ということもあるのだが、
ミャンマー出張から帰ってきて直後の、ヤンゴンでの、あの悲惨な事件があったりして、
自分として、ミャンマー出張報告についてどうやってブログに書いたら良いのか迷っていたということもある。出張中からデモが散発的に起こっており、出張の終わり頃には、ヤンゴン市内には警官だの兵士だのが、あちこちに立っていて、せっかくシュエダゴン・パゴダの近くのホテルに泊まっていたのに、パゴダは僧侶のデモの集合場所になるとか、で、立ち入り禁止になっていた。

出張から帰国して間もなくの頃、日本人ジャーナリストが兵士に射殺され、その前後の映像が残っていたため、全世界的に今回のデモが報道され、改めてミャンマーの軍事政権について関心が集まった。日本のマスコミも盛んに取り上げたので、ミャンマーという国について、知らない若い人たちの中でも知名度(と言っていいのかどうかわからないけど)が上がったのではないかと思う。

でも、自分が10年以上ぶりに降り立ったミャンマーは、予想以上に変わっており、今年できたばかりの新しい空港では、300ドルのチャットへの強制交換もなくなっていたし、何より入国審査がすごく早くなっているのに驚いた。賃走タクシーも何台も走っているし、人々には活気があって、軍事政権下の窮屈さが濃厚に感じられる、ということはなかった。なので、デモがあったとしても、こんなに大きくなるとは思ってもみなかったのである。

今、ミャンマーは移行経済のただ中で、個人の企業家や民間企業で働くサラリーマンも増えてきている。私の中でのミャンマーのイメージ、と言えば、軍服か民族衣装の腰巻き姿、で、洋装など考えられなかったのだが、今回のヤンゴンでは、ワイシャツにスラックス、という通勤姿の男性も多く、ヤンゴンの人に聞いたところ、都市中間層みたいな人たちが増えてきているとのこと。職種は輸入業者か外資系企業のサラリーマンといったところらしい。ミャンマー人は、男女とも、スラリとしているし、太ってはいないけれど、体格の良い人が多いので、洋装をしても結構似合うのだ。

市内を走る車は、ほとんど外国から(というか日本から)の輸入ばかりだが、中古車でもバカ高い値段で、家1件買えるくらいの値段がするそうだ。ホントかどうか確かめてはいないのだが、トヨタの中古ワゴン車1台、日本円にして数千万円くらいするらしい。携帯電話もけっこう見かけたが、こちらも何百万チャット、の文字通りのステータスシンボルなのだそうだ。世界の最貧国、ミャンマーで、そんな値段で車が売買されているなんてちょっと信じられないのだが、金持ちは、かなり豊かで、日本に出張したときは、東京にホテルを借りっぱなしで、あちこち地方の取引先を回ったりする富豪ビジネスマンもいるという話を聞いた。

ヤンゴンで私たちの面倒を見てくれたTさんも、繊維会社、販売店、農場、などを経営する資産家一家の息子で、日本に留学していたこともある。弟のPさんの車で、ヤンゴン市内を案内してくれたが、TさんもPさんも携帯電話を持ち、頻繁に電話が鳴っていた。

確かに、物価の上昇はかなり深刻らしく、さらに、何の前触れもなく、燃料価格だの運賃だのの値上げに踏み切ったミャンマー政府はちょっとひどいとは思う。(モノによっては6倍の値段になったとか。) ただ、北のどこかの独裁国家みたいに、暮らしていけないほど庶民の暮らしが深刻なものになっているのかというと、そんな風にも見えなかったのである。なので、どうしてこんなことになってしまったのか、一旅行者の身には、まったく分からないのだ。

10年前と変わらないなと思ったのは、ドルでしか払えない、観光名所の入場料。しかも、ドル札が少しでも古いと、つっ返される。新札ではないといけないと言うのだ。これがけっこういらつくやりとりで、ダメなドルとOKなドルの違いがどこなのか、さっぱり分からない。バゴーでは、10ドルもの料金を要求された上、住所氏名を書かなければならず、さらに新札でよこせ、と言われたときには、さすがにキレて、入場するのをやめてしまった。モウラミャインの博物館では、2ドルの入館料を払わされ、しかも、2ドルとも新札ではないと受け取らないと言われた。このドル新札へのこだわりがよう分からない。ドルで支払いOKという国は他にも経験したけれど、札の古さ云々を問題にされるのは、ミャンマーだけである。しかも、流通するチャット紙幣は、薫製になっているんかと思うほど、古くてボロボロな札ばかりである。自国の札はボロボロなのに、なんでドルは新札やないとアカンねん。
  ところで、モウラミャインの博物館で驚いたのは、トイレの汚さ、である。2ドルとって、これかよ〜と思うくらい、汚いのだ。というか、水洗トイレなのに、水がない。でも、使用はされていて、なんというか、水洗トイレの洋式便器がそのままくみ取り式になっている、という状況なのだ・・・・。これには、図太い私も打ちのめされ、使用をあきらめた。それにしても、職員の人々も使っているだろうに、このトイレで平気なのか、とほんとうに理解できない。というか、ミャンマーで訪れた地は、全体的にトイレが悲惨なのだ。観光立国を目指すのなら、こういう問題を解決しないと、観光客は増えないと思う。

それでもミャンマーには不思議な魅力がある。この魅力はどこから来るのかというと、やはりミャンマーの人々が持つ愛らしさ、というか誠実さ、律儀さなのだと思う。社会システムとしては、ダメダメなところが目立ったりするのだが、出会った人々の、真面目さ、優しさには、心打たれることが多い。戦時中、祖父母や父母が日本兵と親しくしていた、という人も多く、それを祖父母から子供たち、子供から孫へと語り継いでいて、きっと日本の若い世代は知らないだろう、というような話をしてくれる。モウラミャインで初対面の若者に、「南機関がビルマの独立を助けたのだ」と話しかけられたのは新鮮な驚きだった。知り合いの中には、かつて日本兵の通訳をしていた、とか、日本兵に軍帽をもらった、とか、そういう思い出のある人が多いのだそうだ。その若者の家を訪問したときは、英国軍のサーベルがおいてあったけれど(笑)。

というわけで、窮屈な思いもしながら、それでも10年前との変化も体験し、相変わらず魅力的なミャンマーの人々との出会いもあり、で、総合的には良い印象を持って後にしたミャンマーだったのだが、その後数日で、どんどん政情が悪化してしまい、ため息ばかりの日々だった。
幸いにも、ヤンゴンでお世話になった方々はみな無事とのこと。ちょっと安心はしたのだが、この先、まだまだ今の体制は続きそうだし、そうなれば経済制裁も続く。確かに軍事政権のやり方は酷いと思う。ただ、日本や西側諸国が経済制裁をやっても、多分、軍事政権は困らない。援助する大国があるから。で、困るのは移行経済下で頑張っている国民なのだと思うと、複雑かつ憂鬱な気分になるのだ。


今更ながらのミャンマー出張記_c0070261_1430220.jpg

by yamato1724 | 2007-11-08 10:49 |


段々いよいよ益々不定期更新になってきましたが頑張ります


by yamato1724

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